CRO・ライフサイエンス企業様へ】「賠償保険」に入っているから大丈夫?サイバーリスクの”落とし穴”にご注意ください

こんにちは!株式会社TSIの船着(ふなつき)です。

治験のデジタル化(EDCやリモートモニタリング等)が進む中、「うちはライフサイエンス専門の賠償責任保険に入っているから、データのトラブルも安心だ」と思っていませんか?

実は、そこには大きな「落とし穴」があるかもしれません。 今日は、多くの企業様が誤解しやすい「業務過誤」と「サイバー攻撃」の補償の違いについて解説します。

1. その「データ消失」、原因はどっち?

治験データが消えてしまった!という最悪の事態。実は「原因」によって、使える保険が全く違うことをご存知でしょうか。

ケースA:従業員の操作ミスでデータを消してしまった

これは「業務上の過失」にあたります。 弊社でご案内している『ライフサイエンス賠償責任保険』の「業務過誤(E&O)」という補償では、こうした作業ミスによる第三者のデータ・ソフトウェアへの損害をカバーできる設計になっています(※Coverage D )。

ケースB:ハッカーからのランサムウェア攻撃でデータが暗号化された

ご注意ください。ここが落とし穴です。 外部からの悪意ある「サイバー攻撃」によるデータの破損や消失は、通常の賠償責任保険では「免責(補償対象外)」となるケースが一般的です。

つまり、「ミスには強いが、攻撃には無防備」という状態になっている企業様が非常に多いのです。

2. CRO・ライフサイエンス企業に必要な「2階建て」の備え

だからこそ、私たちが推奨しているのが以下の「2階建て」のリスク対策です。

  1. 1階部分:ライフサイエンス賠償責任保険

    • 治験中の健康被害、個人情報のうっかり漏洩、業務ミスによるデータの破損、契約違反(報告遅延)などをカバー。

  2. 2階部分:サイバーリスク保険(またはサイバー特約)

    • 不正アクセス、ランサムウェア、標的型攻撃によるシステムの停止やデータ消失、およびそれに伴う調査費用や賠償金をカバー。

特にCRO業務では、お預かりしている情報が「極めて機密性が高い」ため、ひとたびサイバー事故が起きれば、賠償額だけでなく、原因調査や対応費用も高額になります。

3. 実際の事故対応フローも異なります

サイバー攻撃を受けた場合、通常の事故対応とは異なり、IT専門家によるフォレンジック調査(原因究明)が初動で必要になります。

  • 通常の事故: 状況整理 → 弁護士対応 → 示談

  • サイバー事故: システム遮断 → IT専門家による調査 → 個人情報保護委員会への報告 → 弁護士対応

この「専門的な初動対応」をスムーズに行うためにも、専用のサイバー保険(特約)をセットしておくことが、事業を守る命綱となります。

最後に:御社の保険は「攻撃」に耐えられますか?

「うちは特約を付けていたかな?」「賠償保険だけで安心してしまっていたかも…」 そう感じた方は、ぜひ一度証券をご確認ください。

私たち株式会社TSIでは、「業務ミス(賠償責任)」と「サイバー攻撃(サイバー保険)」の境界線を明確にし、抜け漏れのないリスク対策をご提案しています。

複雑なライフサイエンス領域のリスクだからこそ、専門家の視点でのチェックをおすすめします。

最後に:リスクマネジメントは「転ばぬ先の杖」

サイバーリスクは、もはや「対岸の火事」ではありません。 万が一の事故発生時には、以下のようなフローで迅速な対応が求められます

  1. 保険会社への初動報告

  2. 被害状況の整理と社内調査

  3. 弁護士・専門家による対応

  4. 示談交渉・訴訟対応

これらのプロセスをスムーズに進め、経営へのダメージを最小限に抑えるためにも、事前の準備が重要です。

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【製薬・CRO担当者必見】その「英文契約書」の補償条項、本当に今の保険で守れますか?~海外治験の隠れたリスクと解決策~

はじめに:契約書の「Indemnification(補償)」条項、読み飛ばしていませんか?

ライフサイエンス保険アドバイザーの船着です。

海外での治験プロジェクトや、海外製薬企業からの受託業務(CRO業務)が増える中、皆様のデスクには分厚い「英文契約書(MSAやCTA)」が積み上がっていないでしょうか。

法務担当者がチェックしているから大丈夫? 本当にそうでしょうか。

長年、この業界の「契約」と「保険」の隙間を見てきましたが、「法務的にOKな契約」でも「保険では免責(支払い対象外)」になっていて、会社が数十億円のリスクを裸で背負っているケースが後を絶ちません。

今日は、多くの担当者が見落としている「3つの落とし穴」についてお話しします。

落とし穴①:「一般賠償責任保険」では、治験リスクは守れない

よくある間違いが、「会社で加入している包括賠償責任保険(General Liability)があるから大丈夫」という思い込みです。

一般的な企業の賠償保険と、我々が扱う「ライフサイエンス賠償責任保険」は、似て非なるものです。

  • 一般の保険:「生産物」や「専門業務」に起因する身体障害リスクは、免責や低い限度額に設定されていることが多い。

  • ライフサイエンス特化保険:治験による健康被害、医療機器の不具合、そして「効果がなかったことによる経済的損失(E&O)」までカバーします。

もし、海外の委託元から「専門職業賠償責任(Professional Liability)を付保せよ」と求められているのに、一般的な賠償保険の証券コピーを提出しているとしたら……それは契約違反のリスクを抱えています。

落とし穴②:海外現地で「保険証券」が必要な場合、どうしていますか?

海外治験を実施する際、現地の法律(Compulsory Insurance)により、現地の保険会社が発行した証券(ローカル証券)の提示が義務付けられる国が多くあります。

その都度、現地のブローカーを探して手配していませんか? 実はそれ、「コストの無駄」であり「管理の穴」です。

日本側で親契約(マスター証券)を一本構築し、そこから世界各国の現地証券をコントロールする「グローバルプログラム」を組めば、保険料コストを最適化できるだけでなく、「現地で実は保険が切れていた」という最悪の事態を防げます。

円安で海外売上高(保険料算出基礎)が膨らんでいる今こそ、このスキームによるコスト削減効果は絶大です。

落とし穴③:CROを襲う「サイバーリスク」は、ただの情報漏洩ではない

最近、私が最も警鐘を鳴らしているのが「治験データの消失・停止リスク」です。

ランサムウェア等でサーバーがダウンした場合、単なる「情報漏洩(お詫び金)」だけでは済みません。 「データが復旧できないため、治験が3ヶ月遅延した。その分の追加費用と逸失利益を賠償せよ」 委託元である製薬会社から、このような巨額請求が来る可能性があります。

これは通常の賠償保険ではカバーしきれない領域ですが、「サイバーリスク補償特約」等を適切に組み合わせることで、事業の存続を守ることができます。

最後に:保険を売るのではなく、「隙間」を埋めるのが私の仕事です

私は現在、特定の保険会社の商品をただ売るのではなく、「クライアントの事業と契約書を守る黒子(くろこ)」として活動しています。

  • 英文契約書の「Insurance Clause」のレビュー

  • 現在の保険証券と、事業実態の「隙間(Gap)」診断

  • 海外治験の現地証券手配のサポート

これらを「セカンドオピニオン」として提供しています。

「今の代理店は、ライフサイエンス特有の話が通じない」 「海外契約のリスクが本当にカバーされているか不安だ」

そう感じたことのある方は、ぜひ一度、お手元の契約書と証券コピーをご用意の上、ご相談ください。 貴社の開発プロジェクトを、リスク管理の面から強力にバックアップいたします。

【お問い合わせ】 ライフサイエンス保険アドバイザー
(株式会社TSI)
代表 船着 久稔 (funatsuki@tmnf-tsi.co.jp)

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【海外治験・グローバルCRO必見】世界で戦うための「攻め」のリスクマネジメント ― 成功する保険プログラムの組み方とは?

こんにちは、船着です。

日本のバイオテクノロジー技術や創薬シーズが海を渡り、グローバルな舞台で臨床試験(治験)が行われることが当たり前の時代になりました。しかし、海外での活動には、日本国内とは比較にならないほど複雑で高額なリスクが潜んでいます。

「現地の提携先に言われるがまま保険に入っている」 「日本で加入しているPL保険(生産物賠償責任保険)があるから大丈夫」

もし、貴社のリスクマネジメントがこのような状態であれば、万が一の際に数億円規模の損失を被る可能性があります。

本日は、ライフサイエンス業界専門の保険ブローカーの視点から、海外治験やグローバルCRO業務を成功させるための「保険プログラムの組み方」について解説します。

1. 一般的な「賠償責任保険」では守れないリスク

まず、最も重要な誤解を解く必要があります。 一般的な「企業包括賠償責任保険(CGL)」や「PL保険」は、主に身体障害財物損壊を補償するものです。

しかし、ライフサイエンス企業やCROにとって、真に恐ろしいリスクはそれだけではありません。

  • 経済的損失(Financial Loss)のリスク

    • 治験データの集計ミスにより、承認申請が遅れ、スポンサー企業に巨額の損害を与えた。

    • 医療機器の仕様不適合により、回収費用や代替品の提供費用が発生した。

  • 契約上の加重責任

    • 契約書(Indemnification Clause)に基づき、法的な責任を超えて相手方の損害を補償しなければならないケース。

これらは、一般的な保険では免責(対象外)となることがほとんどです。弊社が推奨する「ライフサイエンス専門の賠償責任保険(E&O含む)」であれば、こうした純粋な経済的損失契約上の責任までカバーすることが可能です。

2. 「マスター証券」+「ローカル証券」という最適解

海外で治験を行う、あるいは海外支店を持つ場合、保険の手配方法は大きく2つに分かれます。

  1. 現地ですべて手配する

  2. 日本からグローバルプログラムを組む

私たちは、圧倒的に後者(グローバルプログラム)をお勧めしています。

海外各国には、その国独自の保険規制(Admitted規制など)があり、現地の保険会社が発行した証券(ローカル証券)が必要な場合があります。しかし、現地の証券任せにすると、補償内容にバラつきが出たり、補償限度額が不十分だったりするリスクがあります。

【推奨するプログラム構成】

  • 日本(親会社):マスター証券(Master Policy)

    • 全世界を包括的にカバー。各国のローカル証券で補償されない隙間(DIC)や、限度額超過部分(DIL)を日本側でコントロールします。

  • 海外現地:ローカル証券(Local Policy)

    • 治験実施国や拠点のある国で、現地の法律・規制をクリアするために発行します。

このように、日本発のマスター証券で全体を統括することで、「世界中どこで事故が起きても、日本水準の補償と対応」を確保することができます。Chubbなどのグローバル対応が可能な保険会社と連携し、1つの証券で国内外のリスクを一元管理できるのが強みです。

3. 治験(Human Clinical Trial)特有の要件への対応

海外治験では、倫理委員会(IRB)や規制当局への提出書類として、現地の法律に準拠した「治験保険証明書」が必須となります。

国によっては、無過失補償(Non-Fault Compensation)が義務付けられている場合もあり、これに対応していない保険証券では治験の許可が下りません。私たちは、各国の最新の治験補償要件に精通しており、スムーズな治験開始をバックアップします。

4. 最後に:専門家と共に「安心」を設計する

ライフサイエンス業界のリスクは、技術の進歩と共に日々変化しています。 単に「保険に入る」のではなく、「貴社のビジネスモデルに合わせたプログラムを設計する」ことが、私たちの仕事です。

  • 海外CROとの契約内容に不安がある

  • これから米国・欧州・アジアで治験を予定している

  • 現在の保険がE&O(業務過誤)までカバーしているか確認したい

そのようなお悩みをお持ちの担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の革新的な挑戦を、リスクマネジメントの側面から全力でサポートいたします。


お問い合わせ 株式会社TSI グローバル保険プログラム・アーキテクト 船着 久稔

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【人口減少時代の生存戦略】なぜ今、製薬・バイオ企業に「専門保険代理店」が必要なのか

はじめに:数字が語る「待ったなし」の未来

こんにちは。株式会社TSIの船着です。

先日、あるデータを目にしました。人口統計学において、人口を維持するために必要な出生率は「2.07」と言われています。現在の日本はこの数字を大きく下回り、減少の一途をたどっています。

ニュースでは年金や社会保障の問題ばかりが取り沙汰されますが、私たちライフサイエンス業界に身を置く者にとって、この問題はもっと切実な「ビジネスリスク」そのものです。

「人口が減る」=「日本市場が縮小する」。 この不可避な現実を前に、製薬企業、バイオベンチャー、そしてCRO(開発業務受託機関)はどう立ち回るべきか。今日は、リスクマネジメントのプロである「専門保険代理店」の視点からお話しします。

1. 治験のフィールドは「海外」へ。保険はついてきていますか?

日本の人口減少が進むと、何が起きるか。国内だけでは十分な被験者を集めることが困難になります。すでにその傾向は顕著で、多くのクライアント様が「国際共同治験」や「海外での単独治験」へと舵を切っています。

ここで問いたいのが、「ビジネスは国境を越えたのに、保険は日本仕様のままではありませんか?」ということです。

現地の法規制、賠償の慣習、訴訟リスク。これらは国ごとに全く異なります。日本の代理店が手配した一般的な賠償責任保険では、海外の予期せぬトラブルに対応できない「穴(カバー漏れ)」が生じるケースが多々あります。

TSIは、海外の専門家とも連携し、各国の規制に適合した「グローバル保険プログラム」を構築することができます。
海外進出は、攻めの戦略です。だからこそ、足元をすくわれないための「守り」もグローバル基準にアップデートする必要があります。

2. 「人手不足」が生む新たな賠償リスク

人口減少のもう一つの影は、深刻な「人手不足」です。 少人数の精鋭で業務を回さざるを得ない現場では、一人ひとりの負担が増加します。これは単なる労務問題にとどまらず、企業経営を揺るがす「賠償リスク」へと直結します。

  • 過重労働によるメンタルヘルス不調や労災訴訟

  • 余裕のなさからくるハラスメント問題

  • 未熟練者の業務ミスによる、専門職業上の賠償事故(E&O)

これらは、人口減少社会における「必然のリスク」です。 従業員を守り、会社を守るための「雇用慣行賠償責任保険(EPLI)」や「専門職業賠償責任保険」は、もはや福利厚生ではなく、企業の生存を守るための「防具」と言えるでしょう。

3. 専門保険代理店の決定的な違い

このような複雑な時代において、保険を選ぶパートナーも「選び方」を変える必要があります。

特定の保険会社の商品を売る「代理店」の枠を超えた「専門保険代理店」は、「お客様(起業側)」の味方として、買い手側の代理人としてベストな保険を調達する役割を担います。

既存のパッケージ商品ではカバーしきれない、御社特有のリスク(治験、海外展開、専門業務)に合わせて、保険会社と交渉し、オーダーメイドの補償を設計する。それが私たちの仕事です。

おわりに

人口減少という大きな波に逆らうことはできません。しかし、その波を予測し、装備を整えることで、波に乗ることはできます。

ライフサイエンス業界特有のリスクに精通したブローカーとして、御社の「次の挑戦」をリスクマネジメントの側面から支えます。 現状の保険内容に少しでも不安がある経営者様、担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。

ライフサイエンス。バイオテクノロジー業界 賠償責任保険専門
株式会社TSI 船着久稔
funatsuki@tmnf-tsi.co.jp

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ご報告:保険仲立人(保険ブローカー)試験合格と、今後の展望について

皆様、こんにちは。 株式会社TSI、代表の船着(ふなつき)です。 日頃より格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。

さて、この度、私事ではございますが、「保険仲立人(保険ブローカー)」の試験に無事合格いたしましたことを、ご報告させていただきます。

 

なぜ今、保険仲立人なのか

 

私がこの資格取得を目指したのには、明確な理由があります。

それは、私たちが営む「保険代理店」という立場と、私が本来目指すべき「常にお客様の側に立ち、お客様にとっての最善を追求する」という理想とのギャップを、より深く考えるようになったからです。

ご存知の通り、私たち「保険代理店」は、保険会社から委託を受け、保険会社の代理人として保険商品をご提案・販売する立場にあります。もちろん、その中でも常にお客様の意向を第一に考え、誠実な業務を行ってきた自負はございます。

しかし、一方で「保険仲立人(ブローカー)」は、法的な立ち位置が全く異なります。 ブローカーは保険会社から独立し、お客様(保険契約者)からの委託を受け、「お客様の代理人」として行動します。お客様のリスクを分析し、最適な保険の形を設計し、お客様の代理人として保険会社と交渉を行うのが仕事です。

「保険会社側」の立場ではなく、真に「クライアント側」に寄り添った仕事をする。 この資格の勉強を通じて、その職責の重さと専門性の高さを改めて痛感し、これこそが私がTSIで実現したい姿であると確信いたしました。

 

業態転換へのハードルと、現在の決意

 

この試験合格を機に、TSIを保険代理店から保険ブローカーへと業態転換することも、本格的に検討を開始いたしました。

しかし、率直に申し上げますと、そこにはいくつかの大きなハードルが存在します。

保険ブローカーとして営業を開始するためには、法律で定められた高額な営業保証金(本店2,000万円)を法務局に供託する必要があります。また、お客様の受託者としての中立性・独立性を担保し、高度なリスクコンサルティングを提供し続けるための、厳格なコンプライアンス体制や情報管理体制の構築も求められます。

これらは経営者として慎重にクリアすべき課題であり、残念ながら「試験に受かったから、明日からブローカーになります」と即座に移行できるほど簡単なものではありません。

 

今、お客様にお約束できること

 

業態転換については、TSIの中長期的な最重要課題として、引き続き真剣に検討と準備を進めてまいります。

ですが、たとえTSIの看板が「保険代理店」のままであっても、私のマインド、そして業務の質は、今日からさらに進化させます。

保険仲立人に求められる「高度なリスク分析能力」「中立的・客観的な視点」、そして何より「お客様の側に立つ」という強い意志。

これらを、明日からの株式会社TSIの業務に、より一層強く反映させていく所存です。

私たちは「保険ブローカーの知識とマインドを持った保険代理店」として、クライアントの皆様の事業と生活をお守りするため、これまで以上の価値を提供してまいります。

今後とも株式会社TSIの挑戦に、ご期待いただけますと幸いです。 引き続きご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


株式会社TSI 代表取締役 船着 久稔

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CROとSMOの賠償責任保険設計で押さえるべきポイント

医薬品の臨床試験(治験)を支えるCRO(医薬品開発業務受託機関)やSMO(治験施設支援機関)は、治験の品質と安全性を守る重要な役割を担っています。しかし、これらの組織が直面するリスクと、そのリスクをカバーするための賠償責任保険の設計は、実は業務の性質によって大きく異なります。

今回は、特に「SMOにはE&O保険(業務過誤賠償責任保険)が存在しない」という実態を踏まえ、CRO・SMO向け保険設計のポイントとリスク管理の考え方について解説します。


CRO向け賠償責任保険の特徴

CROは治験データの管理や治験実施の一部代行など、多岐にわたる業務を請け負うため、業務過誤による損害賠償リスクが比較的高いのが特徴です。例えば、治験データの入力ミス、SAE(重篤有害事象)報告の遅延、契約違反などが挙げられます。

こうしたリスクに備えるため、CRO向けの保険設計ではE&O保険が基本となります。E&O保険は、業務の過誤や怠慢によって第三者に損害を与えた場合の賠償責任をカバーし、治験の信頼性維持に不可欠な補償です。

また、個人情報保護法の強化に伴い、被験者情報の漏洩リスクに対応する情報漏洩・サイバーリスク特約も付加されることが増えています。さらに、国際共同治験が増加する中で、海外拠点でのリスクに対応する海外対応特約も重要なポイントです。


SMOにE&O保険が存在しない理由

一方で、SMOの業務は治験施設の現場支援や調整が中心であり、CROと比べて法的責任の範囲が限定的です。このため、一般的にSMO向けのE&O保険は市場で提供されていません。

これは、SMOの業務内容が責任医師やCROの指示に基づく支援業務であること、契約上も責任が限定的であることが背景にあります。保険会社側も引受けリスクの評価が難しいため、SMO単体のE&O保険商品はほとんど存在しないのが実情です。


SMOのリスク管理と契約上のポイント

SMOのリスク管理は、保険での補償よりも契約による責任分担の明確化が肝要です。具体的には、SMOのミスによる損害については、CROや治験依頼者が負担することを契約上で定めるケースが多く見られます。

また、SMO内部でのリスク低減のための業務フローの整備や従業員教育も重要なリスク管理策となります。


実務的な保険提案の流れ

  1. 業務内容の詳細確認
    CRO・SMO双方の業務範囲、委託関係、契約上の責任分担を丁寧にヒアリングします。

  2. CROの保険ニーズ評価
    E&O保険、情報漏洩保険、海外対応特約など必要な補償を設計します。

  3. SMOのリスク管理提案
    保険補償が限られるため、契約リスク分担の見直しや業務品質向上策を提案します。

  4. 総合的リスクマネジメント
    契約と保険を連携させて両者のリスクを補完し、治験業務の安定化を図ります。


まとめ

治験のリスクは多様かつ複雑であり、CROとSMOの業務特性によって保険設計の考え方が異なります。
CROにはE&O保険を中心とした充実した補償が必要ですが、SMOには市場でE&O保険が存在しないため、契約上のリスク分担を明確化し、内部統制を強化することが実務上のポイントです。

当社ではライフサイエンス業界に特化した知見を活かし、CRO・SMOの実態に即した最適な賠償責任保険のご提案を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。


【お問い合わせはこちら】
TSI船着久稔 funatsuki@tmnf-tsi.co.jp 090-9003-7707
治験リスクに特化した賠償責任保険のご相談を無料で承っております。

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付保証明書について

こんにちは。
TSI船着久稔であります。

本日は、IRB、CRBに提出が求められた「付保証明書」につきご案内します。

先ず、発行元は保険会社になります。さらに一般的に「付保証明書」は依頼をしなければ発行されません。
付保証明書が必要な場面は、一般の保険契約では多くはありません。後日郵送される「保険証券」があれば基本的には足りるからです。

ライフサイエンス業界では「提出資料」と位置付けられているため「付保証明書」が必要となるわけです。
つまり、保険証券の代わりが「付保証明書」となるわけです。

発行までの手順をご案内します。
先ずは「保険契約」を交わして、代理店か仲立人(ブローカー)が保険会社に「契約が完了して保険料も受領したので(ブローカーの場合は保険会社が直接受領します)当該契約の付保証明書を発行してください」と依頼して、保険会社が発行する。という流れです。

時間的にどれぐらいかかるか。
これは保険会社により差はあるのですが概ね2~3日で発行されると思います。期限に余裕のない時には保険契約を仲介する代理店かブローカーに、その旨をあらかじめ伝えておき、契約&入金と同時に発行してもらえるように依頼しておくとよいと思います。

ところで…
試験開始の3か月前にIRBはめずらしいケースだと思うのですがいかがでしょうか。
じつは、保険会社によっては保険開始の3か月前に申込書作成が規定で出来ないようなことがあり、そうなると保険契約が成立しないために「付保証明書」が発行できない。というケースを最近経験しました。
プロトコルの試験期間の考え方にもよるのですが、FPIを基準に試験期間とすれば、そうそう問題もないとは思うのですが…

いかがでしょうね?

いま、保険仲立人(ブローカー)試験に挑戦しています。
ブローカーになれば複数の保険会社と交渉できるようになるので業界特化した保険関係者としては良いことだと思っています。
そうすると、保険契約が何か月前から可能か。というような情報も取れるので個々のクライアントさんに必要な情報も事前にデーターとして案内することも可能になりますからね。

私事ですが、あと10年働けるかどうか分かりませんので、バイオ、ライフサイエンス、創薬業界と保険業界の両方に詳しい(言葉が通じる)&クライアントさんのグローバル化にも対応する者としては、越えなければならないハードルだと考えている訳です。

しかし、後継者っていないものですね・・・

 

TSI船着久稔

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治験保険とプロトコル&ICF

お世話様です。

今日は治験保険をプランする中でちょっと困ることをご案内します。

賠償部分は特に問題が無いのですが「補償」に関して、けっこうあることです。

例えば「免疫抑制剤」等の試験、フェーズ2になりますと医法研ガイドラインでは、健康被害が起きた場合「医療費」「医療手当」をきちんとして責任を果たしましょう。という体で記載がされています。保険商品は「医法研ガイドライン」に準じて保険商品が設計されて、つまり、「ガンの患者向けの治験」は、医薬品副作用救済制度の対象にならない薬剤なので保険対象外。となる場合があるのです。

もちろん、厚生労働省で「抗がん剤の副作用による健康被害の救済制度について」議論がなされていて、一部「不公平」「趣旨から外れている」等の議論がされていることも承知しているのですが、毎度毎度で、保険業界は専門家が少ないためにこのあたりの変化についていけていない背景があることも問題であることを自認しております。

一方で、依頼者側も当局の見解と保険商品の乖離を認知できる機会は少ないために、コピペ(失敬)でプロトコルが作成されることも事実存在します。

ここで「問題の解決」は出来ませんので、頭を悩ませるわけですが、プロトコルに「この補償を担保する保険等に加入する」等とプロトコルにかかれてしまうと、保険業界側は引き受け可能な保険会社は限られますので、はたして良いことなのか…
これもまた悩ましい問題の一つです。

例えばCROがその点において「共有」出来ていればプロトコル作成時のアドバイスなどを行えるので、完成プロトコルがPMDA→施設IRBと進んだ際に保険のceitificateと合致しているので解決に近づくのですがいかがでしょうね?
さらに各保険会社と競争させることも可能ですので保険料コスト削減も期待できるかもしれません。

私はあと数年で引退しようと考えています。
残念なのは、臨床試験における被験者に対する賠償や補償と賠償保険商品の関連や問題につき完全に理解できる人にいまだにお目にかかったことがありません。
つまり後継者がいない訳です。
「できます!わかります!大丈夫です!」という方は多いのですがね…

まあ、今日はこの辺でやめておきます。

一緒に、創薬業界の賠償保険につき議論し理解し合い、ますます飛躍するライフサイエンス業界に、賠償保険というポイントから提案できるような仲間が出来ればありがたいなぁ… と、最近思うわけです。

株式会社TSI船着久稔 090-9003-7707 funatsuki@tmnf-tsi.co.jp
我こそはという方がいらっしゃればご連絡お待ちしています。

晴れやかな気持ちで引退したいんです!

TSI船着久稔

 

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医薬品のPL保険

おはようございます。TSI船着久稔です。

無事に製造承認がおりて販売開始となれば、一般的には「製造物責任」を負うことになり、これまた一般的には「PL保険」という商品でクレームに対して補償していくことになるのでしょう。

ところが、最近は保険会社によっては「医薬品に対するPL保険」の根本が理解できておらず、保険契約者との間で「行き違い」もあるようですのでご案内します。

もっとも、補償範囲についてきちんとした説明があり、保険契約者も理解があれば それほどトラブルになることは有りません。

つまりは、創薬側と保険業界側が同じ理解で保険設計がされていないことが大きな原因です。

たとえば、冷凍保存の医薬品が何らかの理由で溶けてしまい「製品自体」がダメになった場合・・・
これは、第3者に被害や損害を与えないのでPL保険では補償されません。
「そんなのあたりまえだ!」と理解される方の方が多いのですが、「保険に入っているのになんで?」とクレームになることもあります。

また、再生医療製剤については未知の副作用も含めて保険会社が引き受けに慎重です。
弊社のように創薬業界の専門保険代理店であれば保険会社もリスクについて理解してくれることが多いですが、一般的には保険契約を希望する会社が記入する保険会社の「質問書」により判断されることがほとんどです。
しかし、記入する保険契約者側は、保険には素人で記入方法も保険業界に寄った内容となるため、保険会社側が本当に顕在するリスクや、その製品に対する社会性や安全性を把握できることは「俗人的」な背景があるのも現実です。

保険会社から代理店である弊社に質問が来ることも多く、その際に、「あ!すれ違ってるわ」と感じることも多く、丁寧に説明することと、保険契約者側に確認することも弊社のような専門代理店の役割になっています。

保険会社間でも保険料にものすごい差が出たりすることも多く、これからの新薬創生についてもう少し歩み寄る必要と、その間に入って立ち回るのが弊社の役割なんだろうな。と考えています。

そのようなことで「ちぐはぐ」を感じていらっしゃる方がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。

funatsuki@tmnf-tsi.co.jp
090-9003-7707(会社の電話よりメインに使ってます)
株式会社TSI船着久稔(ふなつき)

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保険業界に何故ライフサイエンス業界の専門家が少ないか

皆様お世話様です。
TSI船着久稔です。

今日のテーマは、「保険業界にライフサイエンス業界をわかるものが少ない」という点について書きます。

ずばり「保険会社が保険商品を作る」ことがスレ違いを起こしている一因だと言えます。
一般的に企業リスクも主要な点では同じです。「生産物賠償」「施設賠償」「雇用慣行賠償」最近では「サイバーリスク」、各保険会社の商品部はこの点に主眼を置いて保険商品を作っています。

一方でライフサイエンス業界は独特な慣習や、言葉、さらに研究段階では「物」の定義も違いますし、その「物」を貸し出して試験が行われたり、外国企業の試験を日本で行ったり、臨床試験においてはGCP、またはIRBの方針で、ほぼ「強制保険」化している実態、さらには、「付保証明書」(certificate)も場合によっては「大至急!」ということも珍しいことではありません。(おまけにクライアント側から保険契約締結を求められる)

つまり、他業種にない慣習やルールが存在しながら、マーケットとしては全体業種の中の一部という背景から「保険会社社員」がついて来れていない(この分野に特化することが出来ない)という事情があります。

さらに、局面においては「共感する心」「洞察する目」「実行する知識」が必要となるわけですが、サラリーマン人生で(保険会社社員)ライフサイエンス業界わることは僅かな期間であるため、よほどのことが無いか限り「勉強しよう」ということにならないのが実態です。

例えば、「IRBが2週間後なんです・・・」という状況があったとします。
IRBの意味が分からなければ、「それは大変だ!」とはなりにくい訳で、結局間に合わずということも発生してしまいます。

保険料試算も時間がかかり、わからないから後回しになったり、わかろうとして的外れな質問が返ってきたりします。
「共感する心」
IRBが2週間後であれば、それまでにCetificateが必要になるわけで、ここに理解が無ければ共感すらできません。「それは困りますよね」
「洞察する目」
なぜ、このタイミングになってしまったか察することも重要です。「CROからいわれたのかな?」「だれも保険手配に気が回らなかったのかな?」
このあたりの理解を共有できる専門家がいれば心強いのではないでしょうか。
「実行する知識」
保険会社もライフサイエンス業界についてはよくわからない。これは前述のとおりです。しかし、保険業界、創薬業界、両方の事情を理解するものが通訳し、実行することでスケジュールに間に合わすことも出来ます。

実際、自動車保険に強い代理店であれば、「車が今日納車なのですが保険をかけるのを忘れていて…」等というときも「車検証」さえあればその場で手続きできて納車までに保険が間に合う。ということと似たようなイメージです。

私は25年間、ライフサイエンスに関わる賠償保険を専門に扱っています。保険会社からも様々な照会を受けるのですが、彼らもプライドがあり「しらない」「わからない」とは言えず時間ばかりかかることがあるようです。

これからはグローバルな試験や契約が多くなると認識していて、この点も話をややこしくしている要因の一つです。
MSAが英語でも、プロトコルが英語でも中国語でも、基本は「共感する心」「洞察する目」「実行する知識」があれば、専門保険代理店としてお役に立つことが出来るでしょう。

ところで…
私にも困ったことがあります。
後継者がいないのです。
保険会社の人間にいくら話しても、大切な3点を本気で理解できないのか、頭で解決しようとする方がほとんどです。
まあ、だからこうやって競争相手が少ない中で商売が出来るのかもしれません。

なかなか引退できずに62歳になってしまいます・・・

TSI船着久稔

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