ライフサイエンス分野に関わる賠償保険について

お世話様です。
TSI船着久稔です。

日本は保険代理店の数は多いのですがほとんどが一般の損害保険全般を扱う保険代理店となります。
さらに、その代理店を担当する課支社も、一般の損害保険商品を取り扱うもので、ライフサイエンス業界の賠償保険、例えば「治験」「臨床研究」「医薬品PL」「CRO保険」等は、問い合わせをしても「よくわからない」ということがほとんどです。

ライフサイエンスに精通している保険代理店は少ないですが存在しますので、代理店や保険会社の選択が、スピードに影響したりするわけです。

今日は、自分でも勉強になった保険契約と、そこに何が大事だったかを経験談として記することにします。

保険には「適用地域」というものがあり、日本国の政治的な背景で「適用地域」にできない場所があります。
つまり、その地域で行う業務に関する賠償責任保険は補償されない。ということになります。
具体的には「北朝鮮」等です。※ほかにもありますがここでは端折ります。

さてさて、この「適用地域」から除外された国での医薬品取引に賠償保険が必要となる案件がありました。
おそらく、どこの保険会社に問い合わせてもNGとなる重たいルールです。

前後しますが、私の前職は代議士の公設秘書で、役所に対するアレルギーがありません。
保険会社を説得するうえで、今回は「経産省」と「法務省」「警察庁」に問い合わせをしました。「医薬品であり、人道的な見地から輸出規制等に該当しない」という確認を取り、保険会社2社と交渉しました。

背景に、TSI(弊社)はライフサイエンス業界の専門保険代理店であり役所にも話を聞けるカウンターパートがいることは強みであり、杓子定規な回答ではなく保険会社内でも検討してくれた結果、無事に適用地域として1社と保険契約することが出来ました。

何が言いたいかというと、専門保険代理店として、絶対に必要なマインドと心がけは次の通りということです。
○共感する心
○洞察する目
○実行する力
まず、どこの保険会社も引き受けてくれないことでクライアントは困っていることに共感する心
そして、保険会社が引き受け可能とするにはどのような情報が必要であるかという目
さらに、必要であれば国の見解を導き出し、保険会社に負担を負わせることなく、プログラムする力

こんなことが大事なのだと思います。

じつは今も難しい案件を抱えています。
共感して洞察中です。
こういった積み重ねが無いと、薬業界と保険業界の間で立ち回るのが難しい立場が保険代理店です。

船着久稔 funatsuki@tmnf-tsi.co.jp

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CRO保険の確認

こんにちは
TSI船着久稔です。
CRO保険、CROの皆様はいずれかの保険会社で加入いただいていると思いますがポイントがありますので、今日はその辺りをご案内します。

CROのリスクのほとんどが「クライアントに対する経済賠償」と言ってもいいと思います。モニタリングにミスがあって試験をやり直さなければならなくなった。やり直しの費用を賠償請求されたなどです。

実際、保険金支払い事故の大半は「割りつけミス」や「インフォームドコンセントが不十分だったのでデータとして使えない」とクライアントから言われて賠償請求を受けることがほとんどです。

ご加入いただいているCRO保険、是非確認してください。
ポイントは2つです。
○経済損失賠償を担保しているか
○「無対物」(データ)の損失損壊等による試験のやりなおしに対応できるか。

「無対物」とは、EDCデーターや取得した被験者のデータ等で、いわゆる「物」ではないものです。一般業種であれば「データー復旧」して間に合わせることが出来るものも、DMに支障をきたして、「試験のやり直し」をクライアントから求められた場合、この無対物を対象としたE&Oに保険をカスタムしていないと保険で対応できないことになります。
弊社で取り扱うCRO保険には基本的に「無対物」を復活担保(普通約款では免責ですので)させる特約を付けるようにしていますが、補償対象としていないと不安ですし、保険付保を求めるクライアントからは「補償範囲としてください」となる場合が多いです。

でも、担保範囲かどうか解からないケースは少なくないですよね。
保険会社に、何も伝えることなくCRO保険を依頼すると担保していないプランで契約している場合が多いようです。

もちろん理解して「必要ない」ということで保険契約がされている場合は問題ないです。
CRO保険は、まだまだ保険会社も契約者様も双方理解が足りないまま契約されていることが多いのです。
理由はCROという業務を保険業界が理解していない。CROの会社も保険の細かい特約は理解していないというスレ違いから起こるのですが、前記の2つのポイントはぜひ確認してみてください。

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海外の相手から求められる契約書の保険の個所

おはようございます。

TSI船着久稔です。タイトルがうまく思いつかなくてスミマセン・・・

先日、弊社の契約者より「USのクライアントと結ぶ契約書のinsuranceの個所の意味が分からない」と問い合わせをいただきました。
基本的に、契約書は都度書き直すものと、ある程度出来上がったフォームを利用する場合がありますので、後者なのだろうなということで拝見しました。

具体的に、クライアントは製品をUSクライアントに収める契約です。(被験物質)よって、被験者への健康被害が「そもそもその被験物質の劣化等が原因」という以外は、賠償責任を負う可能性が少ないものなので「生産物賠償」(PL保険)のみに入ればよいのではないか?
ということが弊社クライアントの見解でした。
しかし、求められた保険は「一般賠償保険」と経済損失賠償(errors or omission)を含む保険契約を求めてきているものでした。

プロトコルも拝見しましたし、いろいろな資料を拝見しましたが、やることは「被験物質を借りて医師主導の治験を行う」ということでしたので、経済賠償の損失までを背負わされることは理不尽ですし、賠償責任が発生する可能性が少ないので保険金も支払われないことになります。(賠償保険ですので賠償責任が無ければ基本的には保険金は支払われません)

このような場合は、USのクライアントに「経済損失賠償の保険に入る必要はないのではないか」と交渉することが大事で、大概「あれはデフォルトのフォームだから修正しましょう」ということで決着します。

さらに、それ以前の話をすれば、USに限らず クライアントは保険の種類や補償範囲などは理解していないケースが少なくないのです。
ですので、突き付けられた契約書で 合点がいかなかったりした場合は交渉必須です。

万が一そのまま進み、経済損失賠償の保険+生産物賠償保険+契約書上負った賠償責任。そのままサインして、事故があった場合は加入している保険に齟齬があれば「契約違反」などと フザケタ言い分を投げつけられるリスクもあります。

相手もこちらも「保険の理解がない」ところで契約を交わすのは考えてみれば正しくは無いわけで、その際はTSIなりにお問い合わせいただき整理して臨んでください。

もちろん費用はかかりません。
おきがるに!

TSI船着久稔 funatsuki@tmnf-tsi.co.jp 090-9003-7707

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海外での臨床試験

お世話様です。TSI船着久稔です。

海外での臨床試験も増えている昨今ですが、ほぼ現地CROにお任せして進める場合が多いように思います。

その点は問題ないのですが、CROも理解しにくいもののひとつが「賠償保険」で、「こういう保険が必要です」と言われても…

よくわからないとご相談を受けることがあります。

○「保険の限度額」○「補償のガイドライン」○「補償の範囲」そんなところでしょうか。

例を挙げてご案内します。

試験期間中と試験後のテールカバーを保険期間とすることが一般的なことはご存じのとおりです。しかし、サイトクローズまで「テールカバー」extend period を「サイトクローズ」まで保険期間(試験中と同じ内容)で保険をかけるように現地のIRBから指摘されて困っている。という話がありました。

説明してもどうしようもないので保険を延長して対応しましたが、現地のCROも理解不能状態だったようで・・・

海外治験は、到底理解できない保険契約を求められることもたまにあるので そのような時にはご相談ください。

TSI船着久稔

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CRO保険についての情報

おはようございます。船着です。

これまでもCRO保険について時々ご案内してまいりましたが、この度、弊社と保険会社が協力してCRO向けの新しい保険を商品化いたします。

これまで、CRO保険について直接保険会社にお問い合わせいただいても よくわからない回答であったり「ちょっと違うな」と思われたクライアントさんも多数いらっしゃるようです。

理由は 保険会社のCROに対する理解の問題なのですが、どうしても「臨床試験」というワードを出すと保険会社では「治験PL」「臨床研究賠償保険」等をご案内することが多かったようです。
これは完全な間違いで、CROの主なリスクは「クライアントへの経済損失賠償」がメインであり、被験者の健康被害に対する賠償責任はメインリスクではないことを保険会社が理解していないためにチグハグだったわけです。

この点を保険会社とおおよそ1年にわたり整理し、本当のCROのリスクを理解してもらい、商品化にこぎつけたわけです。

これまでChubbのみが理解者であったCRO業界ですが、これで競争原理が働くようになりさらに切磋琢磨する保険業界であってほしいと願っています。

新CRO保険についてのお問い合わせは ライフサイエンス業界 専門保険代理店TSI funatsuki@tmnf-tsi.co.jp 03-3667-7770 090-9003-7707 船着(ふなつき)までお気軽にお問い合わせください。

ICCCにも対応しますし、全世界適用地域とすることも可能です。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

株式会社TSI船着久稔

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新しいCRO保険が出来ました

お世話様です。

この度新しいCRO保険を保険会社とともに作り上げました。

これまでと違い国内の保険会社の商品です。

商品が出来るまで「CROとはなんぞや」という点からみっちりレクチャーさせていただきましたので概ね満足の商品となりました。

これまで躊躇していた国内のCRO各社もこの商品ですととても加入しやすくなると思います。

 

お問い合わせは

株式会社TSI Team Super Insurance 船着久稔
03-3667-7770 090-9003-7707
funatsuki@tmnf-tsi.co.jp
お気軽にお問い合わせください。

 

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「薬の治験」で大量改ざん、組織ぐるみ不正の唖然

おはようございます。

タイトルは報道のものをそのまま引用しました。ご容赦ください。

少し違和感があるので理解も含めて記しておきます。

そもそもSMOでこのような事件が起きたということが不思議です。CROがメーカー側に虚偽のデータを提供し「賠償責任を負う」というのは理解できるのですが、SMOなのでしょうか?

CROとSMOはご存じのとおりですので省きますが、CROの場合、1社がこのような不正もしくはエラーをおかして「データ」を使えないものとした場合は、賠償責任を問われるのが一般的です。

現実に事件は確実に増えていて、1例ではICFを示さず被験者としデータを取得したものも依頼者からは「GCP違反でこのCROのデータは使えない。つまり分母が異なるデータとなってしまったため、試験はやり直し、費用負担はCROに求める(賠償)」となりました。

しかし、SMOはあくまでサイト側で製薬メーカーと関わることが役割で・・・報道を見るとどうしても違和感が出るのです。

以前、同じグループ会社にCROとSMOがあって、とある治験で、依頼者側に同社CRO、施設側も同社SMOが引き受けていて、不正とは言わないまでも「よいことではないよね」ということで完全に分社したまたはSMOを譲渡したケースがありました。

それぐらい業務内容としては対するものなのですが・・・

いずれにしても不正でも過失でも不法行為や債務不履行で経済損失を与えたら賠償責任を負うのは当然のことで、そのために「ライフサイエンス賠償保険」が存在するわけです。

ただ・・・ SMOはどこの保険会社も引き受けしないのですよ・・・

どうなるのでしょうね。

皆様とは心配な視点が若干異なることをご容赦ください。

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創薬ベンチャーと賠償保険

2023年5月から銀行系代理店と提携し、バイオベンチャー企業への賠償保険のご案内を進めております。

気づきがありましたので記録しておきます。
創薬ベンチャー企業で「臨床試験」まで進むまでに時間がかかり賠償保険は最後に検討されるケースは少なくありません。
ただ、保険会社または代理店と関わるのは早い方が良いのです。
理由は2つあります。

一つは、プロトコル作成時に「賠償保険」の補償範囲の理解が必要であること。
これは、がんや心不全のフェーズによっては補償が必要とされない場合があるのですが、散見されるのは「補償は医法研ガイドラインに準じて」という文言です。
つまり、保険会社は「補償が必要ないもの」「リスクが高いもの」をあえて引き受けをしない傾向にあります。
よって、プロトコルに書かれていても「契約する保険商品」には「賠償部分のみのお引き受け」等となるケースが少なくないのです。

この場合、どうなりますでしょうか?
施設IRBで「保険は補償も担保しているか」と問われた場合、「健康被害が起きた場合補償部分は依頼者で補償します。保険では担保されません」という説明になるのですが・・・
施設IRBが了承していただけるケースは少ないと思います。「いや、保険で補償も担保してもらってください」となり・・・

あとは、様々な解決方法(個別)になりますので割愛します。

理由の2つ目は、CRO等の契約書上で求められる、または求める「保険」です。この文化は、グローバル化してから創出された背景が強いのですが、この求める、求められる保険がどのような保険種目であるかの理解は一般的に知識は無いのが当たりまえで、この点の「相談者」として保険会社や代理店とコンタクトしておくことがプロジェクトをスムーズに進行させるため検討いただきたい点です。

弊社の「ライフサイエンス業界専門保険代理店」としての経験と、銀行系の「大規模代理店」とのタッグは、それぞれを補い国策とされる創薬企業の成長戦略に一助となることを切望しているわけです。

平たく言えば、自動車買ったから「自動車保険」家を買ったから「火災保険」という一般的な保険との付き合いではなく、2年先でも3年先でも臨床に進んだ時の相談相手としての付き合いが大事だということです。
IRBでハレーションが起きると期間を遅らせたり、いろいろ支障が出ますからね。

株式会社TSI船着久稔 funatuki@tmnf-tsi.co.jp 090-9003-7707

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治験保険見積依頼のタイミングについて

おはようございます。TSI船着久稔です。

さて、臨床試験に保険をかける場合、どのタイミングで見積依頼をすればよいのかご案内します。

まず、保険料感を事前に知っておきたいということであれば特にタイミングは気にしなくて構いません。あくまでも概算ですが、症例数、被険薬の剤型 投与経路 治験期間。その辺りが分かればご案内します。※正式な見積もりと金額は異なります

一般的にはPMDAに届を出すタイミングが適当かな?と考えています。

プロトコルが固まり、ICFも整い、概ねのIRB期日が判明する頃ですので・・・

見積もりには1週間ほどいただければ有難く、契約申し込みと保険料着金(保険会社により異なる場合があります)が揃えば付保証明書が発行できます。

つまり、PMDAの治験届が受理されて施設IRBに進むタイミングに保険契約が完了していることが慌てなくて済むかな?と考えるわけです。

IRBが2週間後!というタイミングでも間に合わないこともないですが、いろいろと大変じゃないですか。

 

ご検討の程どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

TSI船着久稔

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ライフサイエンス専門保険代理店

こんにちは。株式会社TSI船着久稔です。

東京の日本橋でライフサイエンス専門の保険代理店を営んでおります。

CROや治験(国内・海外)医薬品の提供、その他臨床研究、ICCC 様々なライフサイエンスに業界に関わる「賠償保険」を整理してご案内しています。(契約書により要求される保険についてもご案内しています)

さて、今日は少しいつもと違う点のご案内です。

損害保険の見積を数社からとる際(つまり相見積もりです)どのような点に注意するべきか。

基本的に、各保険会社が「プロジェクトを理解しているか」という点が重要です。逆を言えばイザというときに保険金を支払えないことがあるという理解を前提にご検討いただくことが重要です。

1例で言えば、海外での業務を行う場合、保険業界には「付保規制」というものが存在します。

しかし、この付保規制を本当に理解している者は多くはありません。代理店に至ってはコントロールすらできない保険会社の屁理屈に近い筋のものです。

この付保規制をクリアするには色々な方法がありますが、その点も含めて「保険引き受け」を理解させて?保険会社の見積を取ったりする場面も依頼者側には必要になります。

話が逸れましたが、相見積もりは同内容で保険料差を検討するものだと理解しています。スペックと理解が異なると比較にならない点にご注意ください。

先日ご相談を受けたのは「海外治験に被険薬を提供する場合の保険のかけ方」なのですが、お付き合いされている保険代理店では中々理解が難しかったようです。

シンプルにご案内しました。

まず、海外で治験を行うものは現地で「治験保険」に入っていただく。被険薬を提供する側は、日本で治験を実施する地域を担保した医薬品PLに入っていただき「プロジェクト」を担保する保険契約をするようにされることをご案内しました。

そこで、海外で治験を行う企業は日本に法人がありませんので、現地で現地の保険会社と治験PL保険の契約を結ぶ必要があるわけです。

つまり、付保規制とは「海外の法人と日本の保険会社がダイレクトに保険契約をすることは出来ない」と簡単に理解してください。※実はもっともっと複雑な理由ですがわかりやすくするために端折りました。

でも・・・ 実態ではこのようなケースで被険薬を提供する会社が現地の治験のPL保険い入り(依頼者ではありません)治験が進んでいるケースが以前あったのです。引き受けした保険会社は実態を理解していなかったと思えますし、被険薬を提供する側は無駄な保険料を支払っていたともいえる案件でした。

わかりにくいですよね。

弊社ではTV会議等でもご相談を承っております。

保険契約を前提とは致しておりませんのでお気軽にご連絡ください。

funatuski@tmnf-tsi.co.jp

船着久稔

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