CROの主なリスクはクライアントに対する「経済損失賠償」だと思います。
GCPでは「依頼者同様に被験者の健康被害」に対する責任を求められますが実情、被験者に対する健康被害の賠償責任をCROが負うことはほぼ無いと思います。
一方でクライアントに対する「経済損失賠償」は法律上の他契約書上の賠償も負うことになりますので この部分を担保する保険があれば心強く、クライアントに対してのセールストークにも通じるものだと思います。
さて、実際にCROがクライアントに対して「経済損失賠償」を負うケースはどんな場合でしょう。
①CROの業務過誤でプロジェクトをやり直さなければならなくなり他のCROへ支払う費用の負担を支払う。
②受託した管理物(被験物質や検体)を汚損毀損して弁償または再検出しなければならなくなった費用
③施設やクライアント先にいずれの形でも提供したEDCなどでシステム等を損壊した「無体物」の再構築やシステムダウンによる経済損失賠償
④納期遅延により与えた損害
⑤訴訟費用
どうでしょう?
案外、賠償責任を負う場面は多いものです。
実はこの事例は既に日本のCROで起こっている賠償例です。
国際共同治験や海外子会社まで話を広げるとリスクは当然広くなります。
これまで「クライアントがCROに賠償請求すること」は希でしたが、賠償慣行は創出されて当たり前になってきています。
これらのリスクは「ライフサイエンス賠償保険」で担保することになるのですが同時に「契約書」と「社員教育」などもリスクヘッジとして見直す必要があるでしょう。