日本初のCRO保険は、今から12年前に商品化された。
関わった私は、当時「CROのリスクは訴訟リスクであり、被験者への賠償は無いだろう」と考えていた。概ね誤りではなく、開発した商品で7年間、保険金の払い出し事故は起きなかった。
しかし、当時から言われていた「クライアントへの経済損失賠償」は、日本の商慣習と、業界の構図からリスクとして保険化しにくかった。つまり保険化することで「賠商慣行の創出」を懸念したのである。
「保険が使えるなら保険で払ってよ」ということになれば、保険会社が「賠償慣行」を創出することになるかもしれないと考えたのだ。
しかし、時代は変わった。
海外クライアントとの契約書にはDuring the term of the Agreement, Service Provider shall at all times maintain not less than $1 million in Professional Liability and $1 million in Comprehensive General Liability insurance coverage. If applicable, Service Provider shall also maintain Workers Compensation insurance coverage as required by law. Service Provider shall furnish insurance certificates.
等と、保険付保を契約書上求めてくる場合がほとんどで、保険をかけなければ契約が結べない。というケースが出てきたわけで、まさにグローバル化により創出されたリスクと負担であると思う。
GCPでは「受託者も被験者に対する賠償と補償」の担保を求めているが、実際はクライアントへの賠償が主たるリスクで、海外のクライアントが海外所管の裁判所で訴訟提起をした場合のリスクを今後考えていかなければならない。
話は変わるが、先日の大雪の被害は想定外であった。TVニュースを見ると、カーポートやベランダの損壊が目立ち、農家はビニールハウスや施設の損壊に茫然としている光景が流されていた。
今後は、雪崩による災害も懸念される。
このように、想定外の災害や事故、ライフサイエンス業界でも被験者に対する賠償以外にも予測して対策を考えてく必要があるだろう。